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(定期公演に向けてレッスンが進んでいる。
亜美の様子も見たいし、顔を出しておくか)
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!? この声は……
レッスンルームの方からか?
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あっ! プロデューサー、大変!
アミが、大人になっちゃうヨ~!?
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んもー。みんなも兄ちゃんも、
ちょっと驚きすぎじゃない?
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だって亜美だよ? こんなこと、えーと、
ニッチなお茶漬けでもおかしくないっしょ!
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日常茶飯事の事か?
それより、何があったんだ。
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んっふっふ~。実はね~……
亜美、今日クラスの男子に告白されたんだ~!
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本当だってば! 亜美のせくしーも、
ついにここまで来たってことだよ!
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そ、それで、どんなふうに言われたの?
シチュエーションっていうか……。
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えっと、授業の後に声かけられて。
「放課後、校舎裏に来てほしい」って言われて。
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ほ、放課後の校舎裏に、
男の子とふたりきり……!?
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んで、ひとりで行ったら、その子が待ってたんだー。
細かいトコは教えられないけどね!
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そっか……なんだか、ドキドキするネ……。
ドラマみたいだヨ~。
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返事は、まだしてないよ。
その子も、待っててくれるって言ってたし。
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相手は、どんな子なんだ?
亜美とは、普段から仲がいいのか?
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そりゃ、亜美のプロデューサーだし。
当然気になるよ。
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で、でも、告白されても、お付き合いとか……
中学生だし、ちょっと早いよね……?
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ですよね……あ、でも、千鶴さんも中学生の時に
告白されたって言ってたし、そんなものなのかな……?
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アミはその男の子のコト、気になってるノ?
だから、返事を悩んでるとか?
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ううん、そういうんじゃないよ。
クラスメイトだけど、フツーに友達って感じだし。
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うん。亜美、付き合うとかそういうのは、
まだ考えてないけど……。
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ただ、話してる時にちょこっと思い出したんだよね。
新曲のコト……。
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へ? ……ちょ、亜美! まさかアンタ、新曲のために
その子と付き合おうとか思ってないでしょうね!?
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思うわけないっしょ!?
ただちょっと、参考になるかもって思っただけだし!
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似たようなものじゃない。
そんなの不純だし、何より、不誠実だわ。
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それに……。つまりその子は、
きちんと告白してきたってことでしょう?
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真面目な気持ちを、仕事とか、
別のことに結びつけるのは、よくないと思うわ。
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うあうあ~! 非難ゴーゴーだよ~!
兄ちゃんも、やっぱそう思う……?
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そうだな。亜美が、少しでもその子の事を
好きなら、また話は変わるんだけど……。
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プロデューサーとして正直に言うなら……相手の恋心を
利用する事も、成長するためにはありかもしれないな。
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プロデューサー、本気で言ってるノ?
相手の子が、かわいそうだヨ……。
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そうだな、俺もかわいそうだと思う。
でも、よく言うだろ? 『芸の肥やし』って。
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自分のために他人を利用する事もやぶさかではない。
……そういう人だって、少なからずいるだろう。
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でもそれは、その後の何もかもを、
引き受ける覚悟があるから言えると思うんだ。
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そうだ。傷付けられて苦しむのは、本人だけじゃない。
傷付けた方にも、痕が残る。
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うん。……だから俺は、できればしてほしくない。
勝手だけど、亜美に傷付いてほしくないから。
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うん……わかったよ。わかんないけど、
兄ちゃんがマジなのはわかった。
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もともと、オッケーするつもりなかったから……。
ちゃんと断ってくるね。
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よかった。
……それじゃ、レッスンを再開しようか!
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来てくれてありがと。
あのさ、こないだの返事なんだけど……。
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ゴメンね。亜美、アイドルだから……
やっぱそういうの、無理みたい。
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うん、そうだよね。
……ゴメン、迷惑だったよね。
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え? 亜美、迷惑とは思ってないよ。
ビックリはしたけど。
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でも、何でだったかは気になるかな~。
もしかして……亜美が最近、せくしーすぎたせい?
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セクシー……? えっと、そうじゃなくて……
双海さんが、いつも明るくて元気だからかな。
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まあね~。どっちかっていうと、
騒がしいって言われがちだけど!
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でも、これって亜美の取り柄だかんね!
いーっぱいある長所のうちの、ひとつだし?
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うん、そうだね。双海さんには、
それが当たり前なのかもしれないけど……。
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僕、自分がつらかった時、君の何気ない
言葉や笑顔に、救われたことがあったんだ。
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だから、困らせるかもしれないと思ったけど……
ちゃんと伝えないと、後悔すると思って。
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(そっか。いおりんたちが言ってたのって、
こういうことなのかも……)
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だから、えっと……うれしかったよ。
ちゃんと返事をもらえて。
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あのさ……あのね。さっき、アイドルだからって
言ったけど。それもあるんだけど……。
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ホントは亜美が、そういう気持ちが、
まだよくわかんないからかも……。
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えっと、付き合うのが無理ってコトには、
変わらないんだけど……ゴメンね。
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亜美も。……亜美のいいところを言ってくれて、
サンキューだよ! えへへ。
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(亜美が、当たり前にしてること……ちゃんと
見てくれてる人がいたんだな。兄ちゃんみたいに)
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(亜美、まだやっぱり、恋とかそういうの、
よくわかんないけど……でも……)