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(他のアイドル達の見学許可も無事におり、撮影当日。
5人と一緒に、お世話になる着物工房にやってきた)
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ここが着物工房……。とても厳粛な空気を感じます!
はぁぁ、胸の高鳴りが止まりません♪
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私も! 昨日からドキドキしちゃって、
布団に入っても全然寝れなかったんだ~。
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楽しみなのはわかるけど、ここは仕事をする場所だ。
きちんと気を引き締めてな。
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さて、この後はエミリーの撮影に付きっきりになると
思う。みんなの方も気にかけるつもりだけど……。
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見学組は自分がいるから安心していいぞ。
律子から茜のこと見てるようにって頼まれたし!
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あはは、一応アタシもいるし。
響がしっかりしてるから、出番はなさそうだけど。
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いや、おかげで安心できるよ。
それじゃ、頼んだぞ。
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動画をご覧のみなさま、こんにちは。
エミリー・スチュアートと申します。
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本日は、こちらの工房から反物についてご紹介しようと
思います。ですが私ひとりでは心もとないので……。
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着物職人のポールさんにご案内していただきます。
こちらへ、どうぞ。
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みなさん、こんにちワ! 私、ポールといいマス。
よろしくお願いしマス、エミリーさん。
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こちらこそ! あの、ポールさんは着物職人になるため
仏蘭西から来日されたと伺ったのですが……?
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ハイ。パリで開かれたニホンの文化を紹介する
イベントで、着物に一目ボレしました!
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着物はアート、芸術デス! その素晴らしさを、
もっとニホンの若者にも知ってほしいデス!
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はい。私も誠心誠意、お手伝いしますね!
それでは、早速なのですが……。
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(こうして、エミリーとポールさんによる
PR動画の撮影が始まった……)
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エミリーさん、見てください。
ここでは、仮仕立てしているんデス。
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まぁ、ここで……あら?
白い布かと思ったら、黒い線で模様が描かれてますね?
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ハイ、墨で下書きをしてマス。そのあと、一度着物の
形にして、模様がズレていないか確認してるんデス。
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なるほど。とても細やかなお仕事なのですね。
あれほど見事な着物に仕上がるのも納得です。
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特に絵羽模様は、一枚の着物で図案が繋がっているのが
特徴で、とても難しい技術が必要デス。
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でも職人の数は年々減っていて……。
私は伝統を守るため、ニホンにきマシタ!
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Wow! とても素晴らしい志だと思います。
私もポールさんを見習わなくては……!
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(ポールさんの熱意を受け、エミリーも意欲的に
質問をしていく。この二人いいコンビだ……!)
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ここでは生地に色をつけてマス。筆や刷毛を使って、
染料を挿す……『挿し友禅』ともいいマス。
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Oh! ひとつひとつの模様に、
色付けしてるんですね。とても細かい作業です……!
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先代さん! こちらはほら、例の取材の方たちで。
着物の作り方を紹介するムービーの撮影中デス!
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ハイ。前の工房長さんデス。
素晴らしい技術を持った、尊敬する職人さんデス。
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フン。取材だかなんだか知らんが、
とっとと帰ってくれ! 作業の邪魔だ!
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(収録を続行できる雰囲気ではなくなり、
一旦、休憩を挟むことになった……)
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いやー、ビックリした。ちなみに茜ちゃん達は、
ガヤでいい子にしてたからね? 騒いでないからね?
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でも、やっぱり人数多すぎたのかも……。
私が行きたいなんて言っちゃったから……。
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それは違いマス! 私達はできるだけたくさんの人に
着物作りの現場を見て欲しいデス。
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ただ、先代さんは、裏側を見せるのが好きではなく。
……今回もあまり乗り気じゃなかったのデス。
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作品がすべてってことか。なんか、わかるな~。
アタシらもあるもんね、そういうトコ。
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でも今回の動画は、この工房がステージなのデス。
ですから、気にしないでください。
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……。つかぬことをお聞きしますが、
ポールさんはなぜこの工房を選んだのですか?
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……実は私、フランスで画家をしてマシタ。昔から
絵を描くのが好きで。……でも、全然売れなかった。
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それで諦めようとした時、美しい着物に出会いマシタ。
それが先代さんが手がけた着物デス。
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わぁ、運命って感じですね!
それで、その先代さんがいるここを探したんですか?
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ハイ。今の工房長さんは、私のような外国人を
受け入れてくれマシタ。でも先代さんは……。
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先程のこともそうですが……
あまり外の人間を歓迎していない感じですか?
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ハイ。着物はニホンの伝統文化で、この土地の文化。
ここの空気と水で育った人間が作るのがホンスジだと。
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私も、それはわかりマス。伝統が染みついてない
外の人間の私に、同じモノは作れないデスカラ。
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でも私は諦めマセン! 先代さんと同じモノは無理でも
同じくらい、誰かを感動させる着物を作りたいのデス!
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まあ、まだ失敗ばかりデスケド。
でも、エミリーさんのおかげで頑張れマス!
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……えっ? 私ですか? い、いえ、動画もまだ
完成していませんし、私は何も……。
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エミリーさんをテレビで見た時、驚きました。
私と同じ、ニホンで頑張ってる外国人がいるんだって。
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それからエミリーさんのこと、応援してマス。
いつも歌を聞いて、元気もらってマスヨ!
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ハイ! だから今回、動画のキャスティングでも、
エミリーさんをプッシュしマシタ。職権乱用デス!
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そして、みなさんからも元気もらってマス。
ニホンのアイドル、素晴らしいデス!
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あ……ありがとうございます。
私達も、ご期待にお応えできるように……。
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ポールさんに負けないように、憧れを追いかけて。
……頑張りますね!
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すみません! あらためて許可いただきましたので、
収録再開しまーす!
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(先代さんにも納得してもらえたのか、
その後の撮影は順調に進み……)
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最後に、この工房で作られた着物をご用意しました。
うちは留め袖に振袖、訪問着と手掛けているんです。
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はい♪ 本当に絵画のようで……あ。
奥にあるものは、ずいぶん趣が違いますね?
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それはポールさんがデザインした着物です。
私たちでは思いつかない図案で、素敵ですよね。
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SNSで話題になって、若い人に興味を持ってもらえる
きっかけになったんですよ。
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そうだったんですね。すばらしいです!
ポールさんの努力の賜物ですね♪
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そ、そんなコトハ……。私は半人前デス。
まだまだ精進しないといけマセン。
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……伝統の知恵や技術を、未来に残していくことは
とても大変で難しいことだと思います。
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きっと強い想いが必要で……。ですが、その想いを
持ち続ける限り、実現できるとも思います。
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たとえ、いつ、どこで。
その想いを抱こうとも……。
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この動画をみて、少しでも着物に、日本の伝統文化に
興味を抱いていただけたら嬉しいです♪
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(こうして、途中予想外なことも起きたものの、
無事に撮影は終了した)
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撤収作業も終わったし、帰ろうか。
みんな、揃って……あれ? エミリーは?
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プロデューサーと一緒じゃなかったんだ?
さっき忘れ物したって、工房に戻ったよ?
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エミリーが? 珍しいな……。
わかった、ちょっと様子を見てくるよ。
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(いたいた……うん? エミリーが話してるのは……
さっきの先代さんじゃないか?)
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なんだ、あんた。取材は終わったのに、
まだ帰ってなかったのか!
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は、はい……あの、先代様にどうしても、
聞いていただきたいことがあって。
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着物がどのように作られていくのか……。
今日の取材で本当によくわかりました。
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ひとつひとつの工程はもちろん、材料である糸や染料も
その前の水も空気も、もしかしたら鳥の声までも。
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すべてが繋がって、ひとつの着物という
大きな感動が生み出されていくのですね。
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ここと繋がっていない、外から来た私達には……
同じことはできないかも、しれません。……でも。
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これから繋がることはできます。己の役目と向き合う
ことは、どこから来たとしても、できますから!
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それででき上がる模様は、どこか違うものになるかも
しれませんけれど。どうか……。
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その輪に入ることを、許して……認めていただけると
嬉しいです。どうか……。
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すっ、すみません、差し出がましいことを申しました!
あの、本日は本当に、ありがとうございました。
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それと先代様の作られたお着物、本当に大好きです!
それも本当で、えっと……、し、失礼します……。
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当たり前だ。あの子に伝えてくれ。
そんなもの、とっくに認めてるってな。
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でも、できればご自分でお願いしますね。
……エミリーは、自分で伝えたんですから。