MLTD Archive(β)

Desire

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(昨日はあの後、静香からの連絡はなかった。 今朝もまだ姿は見えないが……)
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(いずれにせよ、明日の夜には再レコーディングだ。 まずは、できるところまでやってもらうしか……ん?)
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♪~……
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……? この歌は……?
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やっぱり、ジュリアだったか。
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……あんたか。ちょうどよかった。 ちょっと、話したいことがあったんだ。
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静香とのこと……だよな。 再収録、やっぱりムリそうか?
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どうかな……。あたしは自信があるんだけどな。 明日の夜にはゼッタイ間に合うって、今でも思ってる。
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イメージがあるんだよ。そのつもりでシズと歌えば、 きっとスグに……ウチらのロックが見つかると思う。
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なんなら明日の夜がぶっつけ本番になっても、どうにか なる気がしてる。…シズとなら、なんとかなるってね。
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すごいな。そこまで自信があるなら、 俺も安心だけど……。
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ただ……。なあ、プロデューサー。
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それって本当に、シズのためになるのか?
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……え?
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思っちまったんだ。シズの目指すアイドルって、 あたしのロックとは違うんじゃないか……ってね。
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見てればわかるんだよ。シズはたぶん……。 この劇場で一番、アイドルに真剣だ。
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……そうだな。 静香がアイドルに真剣なのは、確かだと思う。
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もちろん、あたしだって真剣だぜ? でも、 あの子にとってのアイドルは、そういうのじゃない。
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あたしにとってのロックとも違う。 シズは、たぶん……もっと……。
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…………。
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なあ、プロデューサー。 今回のあたしとのユニットに、シズを……。
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あたしのロックに、あの子を染めていいのか?
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ジュリア……。
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ふざけないで。
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って、チハ!?
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千早? ……あ!
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急にどうしたんだ? なんでこんなトコに……?
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待ち合わせって言ったのに、来ないから 探しに来たのよ。今日は私と撮影の仕事でしょう?
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あっ。……あああっ、そうだった!
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そうだよな。ごめん千早、 俺もつい、気が逸れて……。
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いえ、仕方ないかと。そのことはいいんです。 それより……ジュリア。あなたの音楽はその程度なの?
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……え?
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誰かに遠慮しなくてはいけないもの? 誰かを巻き込んでは可哀想なもの?
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誰かの夢を壊してしまうものなの? 違うでしょう?
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歌は、夢を見せるもの。夢をあらわすもの。 心を震わすもの。心に寄り添うもの……。
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どんな歌でも、それは同じはず。
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チハ……。
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そんな、歌を心のままに歌うあなたを、私は尊敬して いるわ。仲間として、誇りにすら思ってる。
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でも、私以上にそう思っていたのは誰なのか……。 あなたも、よく知っているはずよ。
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……!
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……そういえば、ジュリアとのユニットを 発表した時も、うれしそうだったな。
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(喜びと期待に、目を輝かせて……)
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……ははっ。まいった……。 そうだよな。何をらしくないこと言ってんだか!
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せっかく、ロックに決めるチャンスだってのに。 突っ走らないでどうするって話だよな!
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ふふ、そうね。 それから、もうひとつ。
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そう簡単にあなたの色に染まるほど、 あの子は甘くないと思うけれど。
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……。 はっ、確かにそうかもな!
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サンキュ、チハ! おかげで目が覚めた。 なんつーか、いろいろ考えすぎてたぜ。
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OK、やってやるさ。あたしのありのままを 思いっきりシズにぶつけて……。
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ウチらだけの歌を、作り上げてみせる。 期待しててくれよ!
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……ええ、心から楽しみにしているわ。 でもその前に、今日の撮影の仕事をきっちりと。
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あ、ああ、そうだった。せっかくロックな気分 なのに、またフリフリの服を着るのか……。
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ふふっ、遅刻したら、それだけ終わるのが 遅くなるわよ。急ぎましょう。
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わかったよ。よし、今日は一発でキメてやる。 フリルでもリボンでもかかってこい!
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(ジュリアの表情から、迷いの陰りは消えた。 でも、もう一人……。静香とも向き合わないと)
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