1
(昨日はあの後、静香からの連絡はなかった。
今朝もまだ姿は見えないが……)
2
(いずれにせよ、明日の夜には再レコーディングだ。
まずは、できるところまでやってもらうしか……ん?)
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……あんたか。ちょうどよかった。
ちょっと、話したいことがあったんだ。
7
静香とのこと……だよな。
再収録、やっぱりムリそうか?
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どうかな……。あたしは自信があるんだけどな。
明日の夜にはゼッタイ間に合うって、今でも思ってる。
9
イメージがあるんだよ。そのつもりでシズと歌えば、
きっとスグに……ウチらのロックが見つかると思う。
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なんなら明日の夜がぶっつけ本番になっても、どうにか
なる気がしてる。…シズとなら、なんとかなるってね。
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すごいな。そこまで自信があるなら、
俺も安心だけど……。
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思っちまったんだ。シズの目指すアイドルって、
あたしのロックとは違うんじゃないか……ってね。
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見てればわかるんだよ。シズはたぶん……。
この劇場で一番、アイドルに真剣だ。
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……そうだな。
静香がアイドルに真剣なのは、確かだと思う。
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もちろん、あたしだって真剣だぜ? でも、
あの子にとってのアイドルは、そういうのじゃない。
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あたしにとってのロックとも違う。
シズは、たぶん……もっと……。
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なあ、プロデューサー。
今回のあたしとのユニットに、シズを……。
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急にどうしたんだ?
なんでこんなトコに……?
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待ち合わせって言ったのに、来ないから
探しに来たのよ。今日は私と撮影の仕事でしょう?
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そうだよな。ごめん千早、
俺もつい、気が逸れて……。
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いえ、仕方ないかと。そのことはいいんです。
それより……ジュリア。あなたの音楽はその程度なの?
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誰かに遠慮しなくてはいけないもの?
誰かを巻き込んでは可哀想なもの?
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誰かの夢を壊してしまうものなの?
違うでしょう?
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歌は、夢を見せるもの。夢をあらわすもの。
心を震わすもの。心に寄り添うもの……。
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そんな、歌を心のままに歌うあなたを、私は尊敬して
いるわ。仲間として、誇りにすら思ってる。
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でも、私以上にそう思っていたのは誰なのか……。
あなたも、よく知っているはずよ。
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……そういえば、ジュリアとのユニットを
発表した時も、うれしそうだったな。
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……ははっ。まいった……。
そうだよな。何をらしくないこと言ってんだか!
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せっかく、ロックに決めるチャンスだってのに。
突っ走らないでどうするって話だよな!
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そう簡単にあなたの色に染まるほど、
あの子は甘くないと思うけれど。
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サンキュ、チハ! おかげで目が覚めた。
なんつーか、いろいろ考えすぎてたぜ。
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OK、やってやるさ。あたしのありのままを
思いっきりシズにぶつけて……。
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ウチらだけの歌を、作り上げてみせる。
期待しててくれよ!
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……ええ、心から楽しみにしているわ。
でもその前に、今日の撮影の仕事をきっちりと。
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あ、ああ、そうだった。せっかくロックな気分
なのに、またフリフリの服を着るのか……。
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ふふっ、遅刻したら、それだけ終わるのが
遅くなるわよ。急ぎましょう。
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わかったよ。よし、今日は一発でキメてやる。
フリルでもリボンでもかかってこい!
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(ジュリアの表情から、迷いの陰りは消えた。
でも、もう一人……。静香とも向き合わないと)