MLTD Archive(β)

思惑

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『神降ろし』 2週間前……
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一年か十年か、はたまた数十年に一度か。この地の 『神』が、気まぐれに起こすという『厄災』……
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まさか生きているうちに、 お目にかかることができるとはね!
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深淵海先生の目に、どう映っているかわかりませんが。 ここで生きていくには避けられぬ事。それだけです。
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この厄災を鎮めるには、神降ろしの儀式を行い…… 神との契約を、新たにする必要があります。
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実に恐ろしく、そして興味深い。先代が亡くなった以上 それを決定するのが貴女の役目だ。『村長』?
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……。ええ、わかっています。 ただ少し、考える時間が欲しいだけです。
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なるほど。私は構わないが…… さて、厄災の方はどうだろう?
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そして……
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皆、よく集まってくれた。 明後日、『神降ろし』の儀式を執り行う事にした。
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凛音亞。 儀式は、お前にやってもらう。
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え……。わ、私……?
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村のための栄誉ある役目。 つつがなく全うするように。
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ま、待ってください! 凛音亞は病弱なんです。 だったら、私が代わりにやります!
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永混……そんなのダメよ! 夜羽那お嬢様、 選ばれたのは私で……ゴホッ、ゴホッ!
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……凛音亞ができないというなら、永混でも構わない。 ただし、失敗は許されぬ。……いいな。
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っ……はい……。
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儀式が失敗すれば、どのみち凛音亞も……。ならば 最初から永混でも問題はない。村長は、そう考えた。
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そして『神降ろし』の儀式は行われ、成功した。 これで『厄災』は止まる……誰もがそう思った。
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フフッ……うまくいったね。 このまま事が進めば……。
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本当にそうかな? ……儀式は本来、村長を継ぐ者の役目だ。
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『凛音亞だと都合が悪い』なら、永混でもいいのでは? それに、儀式は失敗しなかった。違うかい?
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……まあ、君達がそれでいいならいいけど。
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…………
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永混、体調は大丈夫? 目が覚めたばかり なんだから、無理をしないでね。
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ふふっ、なんだか新鮮な気分。 私が永混の心配をするなんて、いつもと逆ね!
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……。
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あら、逢路蘭。どうかしたの?
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これは……。
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腕に、アザができているわね。 倒れた時にぶつけたのかしら……?
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本当だ……。でもこれくらい、なんてことないよ。 それより凛音亞、村の様子は? みんな変わりないの?
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ええ。あれから誰にも、何も起こっていないわ。 起きられるなら、外の様子を見に行く?
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ガヤガヤ……
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あら? なんだか騒がしい……。 あの、どうかしたんですか?
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夜羽那様が、食事を振る舞ってくださったんだ! あんた達もいただいてきな!
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食事が欲しい人は、順番に並んで。 パンもスープも、まだたくさんある。
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夜羽那お嬢さんが、皆に施しを……? それも、笑顔で……。
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きっと、厄災がなくなったご褒美よ! 永混、逢路蘭、私達もいただきましょう。
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~♪
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夜羽那様が、屋敷の備蓄を空にしてまで、食事を 恵んでくださるなんて……流石、村長様だねぇ。
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そうだな。厄災のせいで、よそからの食料が 届かなくなってたから、ありがたい限りだ。
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夜羽那お嬢さん、まるで人が変わったよう…… これも、厄災が終わった影響なんだろうか……。
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