1
この村には、罪がある。だから隠れなければならないの
だと、父は言った。そのために、神と契約したのだと。
2
神は摩訶不思議な力を使い、雪で、薄曇りの空で、
幻影で、人々の目から私達の先祖の罪を覆い隠す。
3
私達の神は気まぐれだ。村を守るその一方で、
度々、深刻で理不尽な『厄災』を起こした。
4
厄災が起こると、村長は神と対話するため『神降ろし』
という儀式を行う。神降ろしに失敗すれば、死ぬ。
5
父は、都会からやってくる学者に度々何かを相談
していた。ある時、彼は小さな子どもを連れていた。
11
入ってもいいけど、
どうなってしまうかわからないから。
12
逢路蘭! ……いたいた。まったく、
すぐどこか行っちゃうんだから……。
14
この村では、村長の家には必ず双子が生まれる。
双子のうちの下の子か、或いは小さいほう……。
15
本当なら、私が家を出されるはずだった。けど姉は
体が弱く、父は村長を継ぐ者として私を家に残した。
16
その父が厄災で亡くなり、私は決断を迫られた。
私か、凛音亞か……。
17
苦海のような世界で、たったひとり魂を分けた存在。
そのどちらかが、儀式を行わなければならないのだと。
18
……これが、あの村の……。
なるほどね。だいぶ理不尽なようだが……。
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これを呑んででも神に縋りたい理由が、
あの村にはあるという訳か……。
22
この村に来るのは、十数年振りだな。村長の屋敷に
向かう前に、ひとまず散策でも……っ!?
24
逢路蘭、勝手にどこかに行かない!
もう、目を離すとすぐこれなんだから。
27
十数年前と同じ姿……? 信じられない!
……なあ君達、昔私と会った事を覚えてないか?
29
ごめんなさい。私、記憶が……
だから昔の事は、覚えてなくて。
30
きっと、人違いだと思います。
……行こう、逢路蘭。
32
人違い……果たして、そうだろうか?
容姿だけではない。行動まで同じ……。
33
そうか……。
ここは、本当に神のいる村なのか……。
34
生前、君の父君には大変世話になった。……神との
理不尽な契約について、相談をしていたのだが……。
35
ええ。父より引き継いでいますとも。研究を
完璧なものとするため、すべて話していただきたい。