MLTD Archive(β)

神のいる村

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この村には、罪がある。だから隠れなければならないの だと、父は言った。そのために、神と契約したのだと。
2
神は摩訶不思議な力を使い、雪で、薄曇りの空で、 幻影で、人々の目から私達の先祖の罪を覆い隠す。
3
私達の神は気まぐれだ。村を守るその一方で、 度々、深刻で理不尽な『厄災』を起こした。
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厄災が起こると、村長は神と対話するため『神降ろし』 という儀式を行う。神降ろしに失敗すれば、死ぬ。
5
父は、都会からやってくる学者に度々何かを相談 していた。ある時、彼は小さな子どもを連れていた。
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十数年前……
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そこに入っちゃダメだよ。余所者さん。
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どうして?
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どうしても。 この村の人じゃないでしょ?
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村の人以外は、入れないの?
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入ってもいいけど、 どうなってしまうかわからないから。
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逢路蘭! ……いたいた。まったく、 すぐどこか行っちゃうんだから……。
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…………
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この村では、村長の家には必ず双子が生まれる。 双子のうちの下の子か、或いは小さいほう……。
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本当なら、私が家を出されるはずだった。けど姉は 体が弱く、父は村長を継ぐ者として私を家に残した。
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その父が厄災で亡くなり、私は決断を迫られた。 私か、凛音亞か……。
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苦海のような世界で、たったひとり魂を分けた存在。 そのどちらかが、儀式を行わなければならないのだと。
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……これが、あの村の……。 なるほどね。だいぶ理不尽なようだが……。
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これを呑んででも神に縋りたい理由が、 あの村にはあるという訳か……。
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……よし。
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…………
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この村に来るのは、十数年振りだな。村長の屋敷に 向かう前に、ひとまず散策でも……っ!?
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♪
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逢路蘭、勝手にどこかに行かない! もう、目を離すとすぐこれなんだから。
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き……君達! 待ってくれ!
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?
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十数年前と同じ姿……? 信じられない! ……なあ君達、昔私と会った事を覚えてないか?
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……?
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ごめんなさい。私、記憶が…… だから昔の事は、覚えてなくて。
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きっと、人違いだと思います。 ……行こう、逢路蘭。
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……。
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人違い……果たして、そうだろうか? 容姿だけではない。行動まで同じ……。
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そうか……。 ここは、本当に神のいる村なのか……。
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生前、君の父君には大変世話になった。……神との 理不尽な契約について、相談をしていたのだが……。
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ええ。父より引き継いでいますとも。研究を 完璧なものとするため、すべて話していただきたい。
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そして私はすべてを知り、村長は……。
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