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今回のライブは、ひとまず成功したと
言っていいでしょう。バックダンサー組、お疲れ様。
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でも、バックダンサーはひとつの目安にすぎない。
次はいよいよ、藍の相方を決める試験……。
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新生『I.V.』、
メンバーオーディションを始動させます。
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ようやくだ……。
ようやく、お姉ちゃんの……。
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オーディションにあたって、研修生が
一人追加になるわ。入ってきて。
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本物、すっごい綺麗……加工とかじゃなくて、
マジであんな足長いんだ……。
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真珠星さん、知らないの!? クロエ……SNSに
上げたダンス動画で、いきなりバズった子だよ。
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歌もダンスも上手くて、色んな事務所が
声かけてるって……まさか、うちに来るなんて。
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暁(あかつき)クロエです。新生『I.V.』の
メンバーになるためにこの事務所に来ました。
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……は、はあ!? 新生『I.V.』のメンバーって……
いきなり何!? ふざけないで!
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? 別に、ふざけてなんかないけど。
利用できそうなものは利用する……。
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あなただって、同じでしょ? お姉さんの名前を
使って、そのユニットでデビューしようとしてる。
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そこにいる子だって……三船なるだっけ。
確か、三船新一郎の娘だよね?
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(三船新一郎って……テレビでよく見る、
あの大御所俳優の……?)
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良く見ようと悪く見ようと、同じだよ。
どっちも、名前しか見てない……本質を見てない。
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私はただ、『私』を見せたい。
そのために、自分にできる事をするだけ。
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クロエ、もういいわ。
……神宮寺さん、説明をお願い。
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そうね。……それじゃあ皆、
今から配る資料に目を通してちょうだい。
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あのっ、真珠星さん!
ちょっとだけ、寄り道……いい?
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その……家のこと、黙っててごめんね。
気分悪い、よね……。
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ううん、そんなこと……。
なるさんは、なるさんだし。
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……私の両親は、ふたりとも俳優で。
私も、俳優になるために育てられてきたんだ。
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小さい頃からたくさん習い事をして、
両親に言われた通り、毎日を過ごしてた……。
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でもね、アイドルは違うよ? 私がなりたくて……
自分から、スクールに入りたいってお願いしたんだ。
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ふたりとも、アイドルは一時的なもので。
いずれ俳優になるって思ってるみたいだけど……。
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でも、伝統芸能のおうちだと、もっと早く舞台に
立ったりするから……それに比べたらましなのかも。
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……。
芸能界って、すごいところなんだね……。
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……うまくいけば、親のおかげ。
うまくいかなかったら、親に甘えてる……。
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それなら、『私』ってどこにいるのかなあ、って。
ずっと思ってた……。
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……だからかな。さっきのクロエさんの言葉が、
すごく……胸に刺さった。
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……ううん。私は、私の家族しか知らないから、
話が聞けて、よかったっていうか……。
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……よかったなんて、変かな。
でも、なるさんのこと聞けて、嬉しかった。
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真珠星さん……。うん、私も!
真珠星さんに聞いてもらえて、よかった!
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あ、あの……よかったら、
『真珠星ちゃん』って呼んでもいいかな……?
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うん。じゃあ私も、これからは
『なるちゃん』って呼ぶね。
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ふふ。これから新生『I.V.』の試験があるのに、
なんだか勝負しにくくなっちゃったかも。
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ふふっ……そうかも。
お互い、がんばろうね!