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「君と出会ってから」四条貴音

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(公演本番が近づき、今日も仕事が終わらない……。 ちょっと休憩して、外の空気でも吸ってこよう)
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…………
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(……ふう)
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(夜風が気持ちいいな……。 屋上からの月もきれいに見えて……うん?)
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……。
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(そうか、貴音もいたのか。 また月を眺めて……)
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(貴音はずっと、ほぼ毎晩のように月を眺めている。 初めて出会った時もそうだった)
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(きっと貴音にとって、大切な時間なんだろう。 邪魔しないうちに……)
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……ぐすっ。
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(えっ?)
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……貴音?
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やはり……あなた様でしたか。 このような時間まで、お疲れ様です。
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あれ? ええと……、お疲れ様。 それより、大丈夫か?
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? 大丈夫とは……何かご心配事でも?
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いや、貴音のことが……泣いてるのかと思ったから。 でも気のせいだったみたいだな。……なら、よかった。
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まぁ、私のことを……。 ふふっ、あなた様は本当に、お優しいままですね。
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そんな、フォローしてくれなくていいよ。 ただの早とちりだったわけだし。
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いえ、あながち、そういうわけでも……。 私は先ほど、確かに……涙ぐんでいたと思います。
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えっ……?
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あっ、ご安心ください。 その……、うれし涙、なのです。
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うれしい……?
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はい。ふいに気がついたものですから。 今の私が、笑顔で月を見上げていることに……。
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貴音が、笑顔で……。
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幼い頃より、私は月を見上げるたび、 どこか懐かしく、安らかな気持ちとともに……
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想いの届かぬ寂しさと、願いがかなわぬ切なさに、 この身を苛まれていたように思います。
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ですが……いつしか、月を見上げながら自然に、 笑顔で語りかけるようになっていました。
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それは紛れもなく、私の……かけがえのない仲間が。 賑やかで愛おしい百万の星々が。
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あなた様が、私を……包んでくれたから。
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……。そっか。 細かい事情はわからないけど……。
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貴音が泣くほどうれしいと思えたことが、 とにかくうれしいよ。……よかったな!
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まぁ。……ふふっ。 はい、ありがとうございます!
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おかげさまで、私も少しは成長できたように思います。 ですが、まだまだ道半ば……。
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これからの道のりも、そばに……いてくださいますか?
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(輝くような貴音の瞳を、まっすぐに見つめ返す。 返事はもちろん……)
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